2月理楽TIMESに掲載されたダメージの少ない新還元剤
ブチロラクトンチオール「スピエラ」と「GMT」について大変問い合わせが多いようなので、今回組合員様に少しでも理解しえもらえるように少し詳しく記事にさせて頂きます。
ここ近年、還元剤(パーマ剤)の新しい商材が沢山出来てます。ですが、アイロンパーマ液は需要が少ないせいか、従来のチオグリコール酸かチオシスがベースで還元剤はさほど変化がないのが現状で、近年の年配の髪が細くなり白髪染めをした髪ではダメージが出てアイロンパーマがなかなか対応出来ないのが現状ではないでしょうか?
近年のストレートパーマ液は、めまぐるしく進化しアイロンパーマ液として対応出来る還元剤が沢山有ります。特に最近ではシステアミンのベース商材をアイロンパーマの転用してるサロンが多いのではないでしょうか?
今回理楽に掲載された薬剤(オレンジコスメ)も本来は、傷んだ髪の縮毛矯正やデジタルパーマ用に開発された薬剤で,ブチロラクトンチオール(スピエラ)もGMTどちらとも酸性域で還元出来る商材で髪のキューティクルを開かすことなく還元出来るのでカラーの退色や髪のダメージを最小限に抑える事が出来ます。
縮毛矯正やデジタルパーマ用に開発、販売されている商材は、クリーム状になっており、幾つかのポイントを注意すればアイロンパーマ剤の転用はし易いと思います。
還元剤を浸透率やチオ濃度換算やphなどトータルで薬剤の強さを順番に並べると
チオグリコール酸>チオシス>システアミン>チオグリセリン>GMT>ブチロラクトンチオール(スピエラ)
の順番になります。
これらの還元剤は、非常に名前が似ていますが還元にはそれぞれに特徴があり、髪のS1やS2に効く還元剤、アルカリ域か酸性域で活性の高い還元剤など全く特性が違います。個々の説明は次回にして…
今回は、共通点の多い新還元剤のスピエラとGMTについて説明します。
スピエラとGMTの共通点は、酸性域での還元力が強くチオグリコール酸やシスティンの還元力上回ります。
スピエラとは?…日本発の浸透還元剤
2006 年に昭和電工が世界初の還元剤として「スピエラ」を開発した還元剤です。
日本生まれの還元剤で昭和電工は、電子機器のハードディスク世界シェアのナンバーワンの会社ですが、総合化学メーカーとしての歴史も長く、スキンケア商品の原料となるビタミン誘導体やヘアケア分野での還元剤システィンの製造も手がけています。その同社が「スピエラ」を開発したのも、そういった実績の積み重ねによるところが大きいと思われます。
「スピエラ」の由来は、アルカリを使用することなく、それに匹敵するカールの形成力を実現する新原料。名を「SPIERA(スピエラ)」強いカールを連想される「SPiral(スパイラル)」に、サロンシーンの新時代を築くようにとの願いを込めた「Era(エラ)」を組み合わせた造語です。
化粧品名は「ブチロラクトンチオール」
ガンマーブチロラクトンとメルカブト基で反応させて作った還元剤で水と油どちらとも親和性があり、浸透性のある還元剤
特徴は、原料は、pH4(酸性)で用事調整用トリートメント剤と調合でph調整します。
@髪を傷めない。
髪のダメージの原因となるアルカリを必要とせず、髪のダメージに関係なくph4.5?5.5の等電点で特にS2に作用し、酸性?中性処方でカール形成が出来る。髪を痛める事なく、ダメージ毛でも安心して使用出来る。
A風合い、感触が良い。
髪のコシ、手触り感が良く、柔らかくしなやかな仕上がる感じです。繰り返しパーマをかけてもダメージしにくい。
Bカーリング性能が高い。
化粧品原料として、酸性処方の低濃度(2.5%=チオグリコール酸2%相当)でカール形成が出来る。
Cヘアカラーとの相性が良い。
カラー毛に対しても高いカーリング性能があり、カラーの色落ちも少なく、パーマ&カラーの同時施術も可能です。
※欠点としては、ほとんどのメーカー(ヌースフィット以外)の商材は作り置き出来ない…軟化チェックが難しい…アフタートリートメントなどで改善はされてますが、嫌なスピエラ臭が残る。
又、酸化が弱い時がありウエーブダレしやすい。
※等電点とは…ph7が肌では中性ですが、髪の毛はph5.5が中性でキューティクルが開いてな
い状態です。
GMTとは?…ヨーロッパ発の還元剤
GMTが製造されたのは、1980代半ばでドイツの化学メーカーであるブルーノ・ボック社が製造しています。同社の日本総代理店であるパシフィックパートナーズ株式会社によれば「現在、世界でGMTを製造しているのはブルーノ・ボック社だけであり、主にアメリカなどで使用される酸性パーマの原料として製造されている」そうです。日本では2001年の化粧品の規制緩和後にカーリング剤の還元剤として輸入され2012年頃から各メーカーで製品化がはじまっています。
「GMT」は、略称です。化粧品名は「グリセリル モノ チオグリコレート」
グリセリル… G モノ… M チオグリコレート… T でGMTです。
他にも「チオグリコール酸グリセリル」と言う呼び名もあり、チグリコール酸とグリセリンが結合させて結びつけたもので、結びつきが1本の事を「モノ」と言いい「グリセリル・モノ・チオグリコレート」と名ずけられました。
しかし後に分析機器の発達により結びつきが1本「モノ」だけでなく2本「ジ」や3本「トリ」結びつきがあるものも解り正確には、
@グリセリル・モノ・チオグリコレート
Aグリセリル・ジ・チオグリコレート
Bグリセリル・トリ・チオグリコレート
となり、3っも呼び名あっても困りますので、当初の成分登録の「グリセリル・モノ・チオグリコレート」つまり「GMT」のまま表示名称になってます。
特徴は、原料は、pH3(酸性)で用事調整用トリートメント剤と調合でph調整します。
@髪を傷めない。
スピエラと同じく、アルカリ剤を必要とせず還元出来る。主にS2に還元する 。還元が安定してる、幅が広くアルカリ域でも安定している。
A加温する事により、還元率を上げる事が出来る。
B手触りが良く、腰あるカールが出来る。
スピエラ同様ですが、イメージよして、チオグリコール酸系に近いカールが形成さます。
Cスピエラと同様に、カラーとの相性がいい。
*欠点としては、やはりGMT独特の匂いがある。少しガシッとした手触り。
2液に過酸化水素水が使えない。
以上がスピエラとGMTの概要です。
私の知ってるメーカーは、オレンジコスメ、パイモア、ヌースフィト、ブライ、ハホニコ、DーS
です。
ヌースフィトのスピエラ以外は、用事調整用トリートメントと調合タイプです。
メーカーによっても基準の混合比率が4:1〜10:1と色々あり、薬剤のパワー調整を用事調整トリートメント(酸性〜アルカリ性)の物で調整又は、還元剤の量で調整したり各メーカーでの考え方に違があるように思います。
現段階では、全て間違いではないので、皆さんのお好みで使い易いメーカーを選んで慣れてみたら良いと思います。
アイロンパーマの仕方も、幾つかの注意ポイントさえ気おつければ、簡単でシンプルです。
@プレカット終了後、1液をつける前の事前処理は出来るだけ避ける。
薬剤が酸性の為、あまりPPTを沢山つけると逆に薬剤の浸透の弊害になります、せめて慣れるまではCMCぐらいでやめときましょう。
A薬剤のタイムは基本15分〜20分でしてみましょう。
GMTは加温する事にで還元時間を短くする事が出来ます。
B1液の流しは、しっかりと流しましょう。
シャンプーのすすぎくらい。
C中間処理は、タオルでしっかりタオルドライしましょう。
ドライヤーは、髪の水分がむらになりやすいので避けましょう。
保護剤は、サラサラ系のオイルなら使用しても大丈夫です。
固形や粘りあるタイプは避けましょう。
Dアイロンの温度は、140〜180℃でいつもよりやや低めのイメージから初めて下さい。
アイロンの熱で水分を蒸発させてかけるイメージでしてみて下さい。
水分が多いと頭皮が熱い場合がありますから注意して下さい。
E2液は、基本*ブロム酸を使用して下さい。 タイムも5分+5分
*GMTは、特に過酸化水素水の2液を使用すると、髪が急激な反応から熱を持ちます。
又、スピエラのみの場合は、酸化が弱い為6%の過酸化水素水2液に使用した方がウェーブダレがないみたいです。
以上の事を注意してアイロンパーマをしてみて下さい。
私も、去年からスピエラやGMTを使ってパーマや縮毛矯正してますが、私の経験上今まで髪が傷んでかけられなかった髪でもパーマや縮毛矯正がかけれたり仕事の幅は広がると思います。
ただ、注意しなくてはいけないのが、この還元剤を使用しても現状より悪くなる事が少ないだけで良くなる事はないのと言う事と、髪のダメージを良く毛髪診断して用事調整用トリートメントと調合して髪にあった還元剤を調合してみて下さい。
県講師 花本茂喜 |